ぴーけものごった煮

ぴぃすとが写真上げたり上げなかったり。

話02:お嬢様、気高くありたい。

「うーん…うーん…」

特徴的な金色の巻き髪、D-phoneのエリザは悩んでいた。己の在り方、自分自身のアイデンティティについて悩んでいた。

「大丈夫ですか、エリザ。」

エリザを気遣う機械的な声の主はエリザの異界の友人、アニマギアのアイ・スクリーム。

「実は…わたくし、お嬢様系ということでここ数年やってきたつもりなのですが、どうにもそれらしい動きができていないような気がしますの…そうだ、どういった行動がお嬢様らしいか、アイ様にもご意見を伺いたいですわ!」

「承認。情報の収集・解析を開始します。」

「やったあ!有り難く存じますわ!」

典型的お嬢様風のエリザと白黒メイド風のアイ、2人はさながら主人と従者のようである。


「“お嬢様”を定義…“強大な財力を持ち、それを誇示する者”…」

「むむ、お金ですか…」

少し“考えた”後、アイから案が出された。


「やはり財力です。財力に物を言わせ、全身の関節をプラチナに、装甲やアプリをダイヤモンドに置換することを提案します。」

「できるかぁ!!」

豪快なツッコミ。曲がりなりにも大阪人の性であろうか。

「そんなことできる財力はマスターちゃまにはありませんし、よしんばできたとしても周りの方から反感を買ってしまいますわ!」

「…申し訳ありません…」

その表情はぴくりとも動いていないが、明らかにしょんぼりしていた。


「定義を変更します。“一定の学力、社会的責任を持ち、権力を行使する者”…今のエリザは“お嬢様”ではなく、それに満たない“お嬢ちゃん”であるとします。

「お、お嬢ちゃん…?」

「はい、お嬢ちゃん。学力やその立ち振る舞いに問題がある状態です。

…あなたたちD-phoneの情報処理能力は我々一般流通型のアニマギアよりも高度であると推測。よって…普段からの情報収集、学習頻度の増加…つまり、“勉強”することを推奨します。」

「え、ええっ…確かにお勉強は大事ですけれど、私たちの世界ですと情報を集めるのも一苦労なのですけれど…」

「また、それだけでは不十分です。例えば、嗜好品として甘いものの摂取を控えコーヒーなど苦い飲料の摂取に置換する、常に高圧的に他人と接する、エリザの場合妹であるソラとの接し方をより厳格なものに変更、それから…

「す、ストップ!ストップ!ソラに厳しく接するなんてわたくしには無理ですし、甘いものが食べれないのも嫌ですわ!もう一度お嬢様の定義を変更してくださいまし!」

「承認。では再度情報を収集します。

…“悪役令嬢”…主人公と敵対し恋路を妨害、最終的に破滅する……“くっころ”…捕虜とされた女騎士や政治的地位を持つ者が辱めを受けることを嫌い、死を選ぶケース……“バーチャル████er”…ゲーム実況…都道府県クイズ…?厳密にはお嬢様の定義から外れますが参考データとして取得……それから…」

「な、なに調べてるんですの!?中止!中止ぃっ!この話はおしまいですわ!

んもー…お嬢様って難しいですわ!!」

                  おしまい